2024/02/09

気を抜くと何も書かなくなる。それはそれはすごいスピードで何も書かない。書かない間に何があったかというと、本が読めなくなり、新しい言語表現を得ようという意欲が皆無になった。毎日の殆どの時間をどうにかして読書や映画や制作に費やそうと意気込んでいたが毎日の殆どの時間はそれらではなく労働の方に注がれることとなった。知らない間にグラスが入れ替わっていたというか、注がれる液体の方が変わっていたというか、なんというか。変わったのは私だけだというのに。脳のある一定の場所だけが異様に動き続けており、そのほかが全く動かなくなることばかりが増えた。例えですが。

 

近況として衝撃的だったのは恋人が突然できたことだ。ここにいない人間の個別の情報について言及するのはそれが親族であろうが、なんだろうがあまり良いことではない気もするので特段書く予定はないが、つい最近まで長いこと知り合いだった。関係性のステータス表示があるとしたら、純度100%の知り合い。あろうことか、私はなぜか恋人のことをつい最近まで妻子のある人間、そうでなくとも長いこと交際している人がいるタイプの人間だと根拠もなく思っていた。本当に人に対する解像度が低すぎる。

 

なぜ今付き合っているのかも、よくわかっていないが、最初の恋人に対する感情とは違うものが自分の中にあるというのがとても興味深い。一応人のことをちゃんと好きになっていた自負はあったためそれらの感情が別の人間との間でまた再生産されることを繰り返すものだとばかり思っていた。なんか違うの出てきたな急に。と感情に対して真顔で接してしまう。じゃあ最初の恋人に対する感情は一体なんだったんだというか、今の感情もなんなんだよ。と理解しようと試みているが、あまり意味をなさない気もしている。最初の恋人とは真逆の性格を持つ人のため、こうも違うタイプの人間を好きになることもあるのかと、関心したりもする。恋人と話すと、私は常に笑っている。単純に彼のユーモアのセンスがずば抜けて良いということもあるが、もう少し別の理由で私は喜んでいる気もする。安全な場所なのだろうな。柔らかくて優しくて穏やかで、彼は湖のような人だといつも思っている。

 

そんなこんなで、生活は緩やかに大きく変わったし、変わりゆくことに対してあまり恐れなくなってきた。景気付けにタロット占いなんてものも見てもらったが、大体自分の現在の状況と同じようなことが言葉で説明され、何度も焦らなくて良いということが言われた。なぜ焦っているのがわかるのか、というのを考えると怖くなるのでやめておくが、まだ過去の恋愛でのあれこれに傷付いていたり(というか思い出して人に心を開くことが怖くなる)、自分は選ぶことがないと思っていた方の人生が見え隠れしたりするので心がざわざわとすることもある。どう彼と付き合うべきなのか、どうしたら彼のために安心で安全な場所を用意できるのか、そういうことを考えるたびに少しだけ途方に暮れたりしている。

 

私ちゃんとやれてる?